ハタの固定
製作したハタを固定します。
ハタをオモテ側から順にツカセで固定していきます。
無理をかけるとツカセが急に外れたり、板が裂けたりする恐れがあるため、全体の様子を見ながら慎重に行います。
その上、片側ばかりツカセを立てると船の位置がずれてしまうため、固定は左右同時に進めていきます。
全行程の中でも最も気を張る作業です。
接合部の当たりが悪い場所はその都度摺り合わせをします。
場合によってはツカセを一旦外して加工し直します。
ツカセは、力のかけ方を考えてあらゆる方向から掛けます。
しかし、その後の作業の邪魔にならないような配慮も必要です。
この時点でかなり船らしくなります。
スミツボを下げ振りにしてハタの角度を入念に確認します。
曲げが急で材に無理が掛かっているような場所は、ヤキダメをして板に癖を付けます。
曲げが終わったあとは摺り合わせです。
オモテの下端は、ハタがミヨシ・コナガシ・カンジキとほぼ1点で交わっているため難しく、ノコギリを替えながら入念に行います。
ヒキマワシから
コブクラまで、適宜使い分けます。
その後全体にアイバスリを行います。
板と板の密着が悪いと、アカ(船に入ってくる水のこと)が入るだけでなく、船の耐久性にも影響するため、何度も入念に行われます。
隙間から接着剤を塗布します。
カンジキの高さに合わせて、フナクギの打ち込み位置と角度を決めます。
位置と角度を確認している道具は、板を切ってこしらえたものです。
作業を効率よく正確に行うために、簡単な道具は適宜造ります。
ツバノミで下穴を開けて、フナクギを打ち込みます。
フナクギは板の中心を通るよう、ちょうどいい位置で曲げます。(曲げる形は大工の勘)
固定を終えたら、まずハタの高さを確認します。
次に所定の位置に糸を張り、
糸の高さから全体の曲線をイメージし、
ハタの高さを決定します。
オモテ側も同様に糸を張って確認し、
高さを決定します。
高さが決定したら全体に自然な曲線になるように墨をだしていきます。
最後に墨に合わせてマサカリで木を削り、
カンナで仕上げて完成です。
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